研修動画・資料

2022/04/08

がん医科歯科連携研修会 Q&A

3月13日(日)に開催したがん医科歯科連携研修会のQ&Aです。

講演の動画は新しいHPに掲載予定です。

 

Q 口腔粘膜炎がひどい時の対応を教えて下さい。

A 保清、粘膜保護が二大ポイントになります。さらに、可能であれば局所の疼痛管理を行っていただくとよいと思います。

 

・患者さんは痛みで大変つらいのですが、可能な範囲で口腔内を清潔にします。口腔カンジダ症を発症していることがあり、 この際は、アレルギーがないことを確認した上で、アンホテリシンBシロップ(ファンギゾンシロップ、ハリゾンシロップ)を服用させることが望ましいです。ミコナゾール製剤(フロリードゲル、オラビ錠口腔用)は薬物間相互作用を有することがあるので、 使う際は投与されている薬剤をよく確認する必要があります。一方で、アンホテリシンBシロップについては基本的に吸収されませんので、薬物間相互作用をそれほど気にせず投与することができ、使い勝手がよいです。

 

・発症部位が歯や食べ物と接触することによる痛みを和らげるため、白色ワセリンや粘膜保護材(エピシル)を患部あるいは接触する歯に塗布します。外来化学療法では稀ですが、患者さんが経口栄養摂取をできなくなった場合、あるいは、飲水ができなくなった場合は、入院下で栄養・水分補給の 管理を要することがあります。さらに、抗腫瘍薬の用量や種類の変更について検討されることがあります。主治医と連絡を取って頂くことが望ましいです。

 

・可能であれば、局所の疼痛管理のため、キシロカインを希釈した含嗽液を処方していただくとよいと思います。病院では医師も頻用します。

 

Q 口腔内感染源の観点から、perioとperが多発している場合、治療はなかなか容易ではないと思いますが、開業医としてどこまで目指せばよいのでしょうか?

A 専門の立場であっても、難しいケースであると思います。可能な時に可能な範囲で行って頂ければよいと思います。一歯治療ができれば、その分感染源は減少し、医科治療上問題となるリスクは減ります。なお、原則としてがん治療を優先させるべきですが、状況によっては歯科治療のためがん治療を一時中断、あるいは開始を少し待てることもあります。また、口腔内感染源が多い場合は、がん治療の施行中に感染が問題になる可能性が高く、この情報は医師ががん治療を行う上で必要です。

口腔内の状態が非常に悪い場合は、主治医に情報提供して いただくとともに、歯科治療・口腔管理の方針についてご検討いただくことが理想的と思います。

 

Q 放射線照射により唾液分泌が減少し、カリエスが多発する患者さんもいらっしゃいます。カリエスが真黒になる理由も自分にはよく理解できていないのですが、そういった歯に対して歯肉縁下まで全部被覆する意義はいかがでしょうか。

A ご質問の通り、放射線照射により唾液分泌が低下した患者では根面、歯頸部う蝕が頻発します。全部被覆冠による補綴をする際は、経験上、マージンを歯肉縁下にすることが多いです。歯肉縁上にマージンを設定しますと、根元からう蝕にやられてしまいます。

歯頚部う蝕の発症リスクを考えますと、歯肉縁下まで全部被覆する意味はあると思います。また、根面う蝕や歯頸部う蝕の充填の際は、経験上になりますが、レジン充填よりもグラスアイオノマー充填の方が、二次う蝕の発生は少ない印象をもっています。理論上も抗う蝕作用はグラスアイオノマーセメントの方が優れていると思われます。

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